主な治療法
当ペインクリニックではさまざまな最新の痛み治療を組み合わせておこない、痛みからの解放と健康な生活への復帰を目指しています。多くの治療法から最適な治療を選択、組み合わせていく必要があります。(1)治療の痛みが少ない、(2)安全性が高い、(3)治療効果が高い、の3点に注意を払って治療をおこなっております。
薬物治療
内服治療
鎮痛薬にも様々な種類があります。鎮痛作用が強い薬、副作用が少ない薬、痛みによる筋肉のけいれんを和らげる薬、漢方薬など多くの種類の薬から患者さんに最も適した薬物を選びます。院長は痛みの薬物治療に関する専門的な講義や講演も多数おこなってきており、薬物治療の指導的な役割を果たしております。(開業以来、医師会、歯科医師会、名古屋市立大学薬学部など愛知県内外にて多数の講演実績あり)
点滴治療
ケタラールは、従来麻酔薬として使用されてきましたが、帯状疱疹後神経痛、幻肢痛を含むさまざまな神経障害性疼痛を緩和し、がん性疼痛の治療にも適応が広がってきています。しかし治療域が狭く,有害な中枢作用(鎮静,精神症状など)と,これ自体の身体依存性のため,専門的な知識と経験が必要なため慢性疼痛への応用は限られています。当ペインクリニックでは適応を慎重に判断して疼痛治療に応用しております。マグネシウムMgも同様な鎮痛作用があり、適応を選んで投与しております。
神経ブロック
神経ブロック
できるだけ痛みのすくないように、最も細い針(27Gまたは30G)を使用しています。また以前使用されていた神経破壊薬の代わりに、副作用の少ない高周波熱焼灼を用いた最新の電気治療をおこなっています。
神経ブロックの際に、正確性を期すため必要な場合はセントゲン透視下に注射をおこなっております。特に三叉神経ブロックで神経破壊が必要な場合は、レントゲン透視下に安全で正確な神経ブロックをおこなっております。
トリガーポイントブロック
トリガーポイントブロックは、痛みを誘発する部位に注射をすることにより、効果的に筋肉の痛みを軽減することができます。トリガーポイントは特に頚部や腰に多いといわれており、簡単な手技で痛みをやわらげることができます。
高周波熱凝固法・パルス高周波法
神経破壊にはアルコールなどの薬剤を用いる方法もありますが、痛みに関係ない神経までまひさせる恐れがあります。高周波熱凝固はそうした副作用が少ないです。高周波熱凝固法では、高周波により針周辺の温度を高くし、神経を構成しているタンパク質の一部を凝固して、神経の伝達を遮断して除痛を得る治療法です。局所麻酔薬で一時的に神経機能をまひさせる一般的な神経ブロックと違い、この方法では、遮断された神経が再生するまで効果が保たれます。顔面に激痛が走る「三叉神経痛」や、首や腰の背骨から来る痛み、がんによる痛みなどが治療の対象になります。局所麻酔薬では効果が長続きしないのに対し、高周波熱凝固法は効果を持続させる「神経破壊法」の一つです。「神経破壊」と言っても、実際にはある程度知覚を残すよう加減する神経遮断の治療です。遮断された神経も、通常数か月から数年で再生します。
パルス高周波法は、高周波を間欠的に発生させることで、周辺の温度をタンパク質が凝固しない42℃以下に保ちながら、電場を発生させることで除痛を得る治療法です。症状やブロック部位で高周波熱凝固法とパルス高周波法を使い分けて、疼痛治療をおこなっています。
関連医療機器メーカHP
セントジュードメディカル
光線治療(スーパーライザー)
光の中で最も深達性の高い波長帯の近赤外線を高出力でスポット状に照射する光線治療器です。疼痛部位や筋肉のこわばった部位に照射し、高い治療効果を得ています。副作用がない安全性の高い製品です。筋肉疾患、目や顎などの顔面の症状など様々な部位に効果的に照射が行えます。当ペインクリニックでは最新型のPXタイプもご用意しております。また光線療法のエキスパートとして、全国にて多数の講演や実技指導をおこなってきました。テレビ出演や健康雑誌でも当ペインクリニックでのレーザー治療の様子が紹介されております。
関連医療機器メーカHP(東京医研)
脊髄電気刺激療法
脊髄刺激療法は,鎮痛剤や神経ブロックなどで充分な鎮痛・除痛が得られない痛みを,脊髄に微弱な電気刺激を与えることにより軽減する方法です.脊髄刺激療法が開発されてから30年以上経過しており,世界中で多くの痛みの患者さまに実施されてきました.日本では,1992年から保険適応になっています.
脊髄には痛みをコントロールする関門があるという説に基づいて,脊髄に電気刺激を行います.そうすることで痛みが脳に伝わりにくくなり,痛みがやわらぎます.脊髄に電気刺激を行うために,ペースメーカーの応用技術で開発された機器を体内に植込みます.この治療は痛みの原因を除去するものではなく,痛みの感覚を刺激感(しびれ)に置き換えて痛みを軽減させる治療法です.
脊髄刺激療法は、非常に低侵襲で短い時間で終了する手術な為、患者さまへの負担も少ない治療となっています。当ペインクリニックでは、患者さまの痛みに真剣に向き合い、痛みに対する負担を軽減させるために脊髄電気刺激治療に取り組んでいます。
手術は通常2回に分けて行われ、まず試験刺激(トライアル)でリード(刺激電極)のみを留置し3日~7日程度で効果を確かめてから、刺激装置の本植え込みをおこないます。本植え込み後は患者用プログラマを使い、患者様が自分の痛みに応じて刺激を調節し、痛みをコントロールします。50%~70%痛みを軽減することが目標で、鎮痛剤の使用量減少や睡眠時間の増加等QOLの向上が期待できます。また、硬膜外腔にリードを置くため神経を傷つけず、手術前の状態に戻すことも可能です。
関連医療機器メーカーHP
日本メドトロニクス
セントジュードメディカル
その他
イオントフォレーシス
当ペインクリニックでは、帯状疱疹後神経痛の治療としてイオントフォレーシスを実施しています。局所麻酔薬を浸透させたパッドを患部に貼り付け、陽極と陰極の2点間に微弱電流を通電することにより、イオン化した局所麻酔薬が、経皮的にかつ無痛的に皮下へ浸透し、その結果、末梢神経の伝導を遮断し、皮膚表面の痛みを軽減します。衣類が擦れるだけで痛みを訴える方もおられるなど、帯状疱疹後神経痛は、特に、皮膚表面に強い痛みが出やすいので、このイオントフォレーシス療法が、非常に有効です。イオントフォレーシス療法の治療時間は約30分程度で治療後は食事制限もなく入浴も可能です。イオントフォレーシスは、①痛みを伴わない、②副作用が無い、③高齢の方にも適応可能、④注射に抵抗のある方にも安全に受けて頂ける、⑤他の治療法で効果がなく一年以上経過の難治性の帯状疱疹後神経痛にも有効、など多くの利点があります。イオントフォレーシス療法は、継続的に治療をする事が大事です。特に、帯状疱疹後神経痛は長期の治療が必要ですので、焦らずに治療していきましょう。
局所静脈内交感神経ブロック
局所静脈内麻酔法と同様の手技で患肢を駆血状態において、レセルピン0.25~1.0mg+静注用リドカイン100mg+生理食塩水10~30ml(下肢の場合は20~50ml)を静脈内注入する。約20分間保持後,ゆっくり駆血を解除して、合併症が起こらないことを確認後抜針する。ステロイドを添加することもある。四肢の病変に対して行われる。駆血下で静脈内へ局所麻酔薬や交感神経遮断薬を注入できる。特殊な手技を必要としないのが利点である。出血傾向があるために神経ブロックが行えない場合にも施行できる。