院長ブログ

医学の話題ではありませんが、映画の話をしましょう。今から約30年前、私が単身米国留学に向かう飛行機のなかで、Witnessという映画が上映されました。そもそもWitnessという英単語の意味もわかりませんでしたが、自分の英語の理解力を確認するために映画を見始めました。Witnessは日本語で証人や目撃者という意味があり、たとえば診療行為の承諾書にある証人欄には英語表記でWitnessと書かれており、医学でも大事な英単語の一つですが、当時は題名の意味もわかりませんでした。映画の冒頭で白いベールをかぶった質素な服装の女性や黒装束の男性が現れますが、この集団が何を意味するのかも皆目見当がつきませんでした。ペンシルベニア駅の構内のトイレで、少年が殺人事件を目撃(つまりこの少年が表題のWitnessでした)することから物語が始まります。若き日のハリソンフォードがジョンブックという刑事役で主演しており、恋愛あり、アクションあり、の映画でしたが、映画ででてくるドイツ語を話す集団が何者なのかまったく理解できませんでした。映画が終了すると一斉に機内で拍手がおこり、隣の米国人の婦人が私に、恋愛ありアクションありの素晴らしい映画だと話しかけてきました。私自身は映画の背景も十分に理解できず、留学途中にもかかわらず己の英語能力の未熟さにがっかりしました。その後米国在住の同僚から、ドイツから米国に移民した宗教に基づいた特異な生活スタイルを維持しているAmishの存在を教えてもらいました。後にニューヨークから車でワシントンDCまで旅行したときに、ペンシルベニア大学の友人を訪ねる途中で、ランカスター郡でまさに映画で登場したAmishにであいました。白いベールをかぶった女性や黒装束の男性など映画でみたシーンそのものでした。彼らは車や電話などの文明の利器を一切拒否し、馬車を交通手段としていました。Amishの観光施設は皮肉にもAmish以外の米国人が経営しておりました。この映画のDVDは、アマゾンでは現在1500円くらいで手にはいります。米国の風習などに興味のあるかたは一度御覧になってください。



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